日米同盟 2010 5 16

書名 アメリカが日本を捨てるとき
著者 古森 義久  PHP新書

 時々、鳩山政権から「日米同盟の強化」などという話が聞こえてきますが、
これは、「言語明瞭・意味不明だ」と言えるでしょう。
 インド洋での給油作業の中止、沖縄の普天間基地を巡る迷走。
これで、よく日米同盟の強化などと言えるのか。
 実は、鳩山政権は、日米同盟の強化どころか、
日米安全保障条約の破棄を目指しているのではないか。
これは、日米同盟に関係のない第三者から見れば、そう思うでしょう。
 ほかにも、鳩山政権には言語明瞭・意味不明なところがあります。
この本にも書いてありますが、
「緊密で対等な同盟関係」という言葉が、言語明瞭・意味不明です。
 日米同盟(日米安全保障条約)というものは、
実に不思議な同盟と言えるでしょう。
今の日米同盟は、
「アメリカは日本を守り、日本はアメリカを守らない」という現状がありますから、
日米安全保障条約は、同盟というよりも、保護条約と言った方がよいでしょう。
 ところが、民主党は、「緊密な同盟関係」に「対等な」という言葉を加えてきました。
そうすると、「アメリカは日本を守り、日本はアメリカを守らない」という片務性が、
やっと、「アメリカは日本を守り、日本はアメリカを守る」という双務性に改善される。
長年続いた、保護条約に近い不平等条約が、やっと普通の条約になる。
そう思っても不思議はないでしょう。
 しかし、現実には、
「インド洋での給油作業の中止、沖縄の普天間基地を巡る迷走」という現象が起きています。
 「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、
今の鳩山内閣には、この言葉が、ぴったり当てはまります。
 ところで、この本のタイトルにある、
「アメリカが日本を捨てるとき」、どうなるか。
 もし、あなたが、中国の軍事指導者だったら、どう考えるでしょうか。
まず、机の上に、世界地図を広げてみる。
千島列島や樺太がロシア領であるように、
台湾や南西諸島が中国領であっても不思議ではないと思うでしょう。
(ここでは、南西諸島とは、西表島から種子島までと定義します)
 まずは、台湾を中国の省とする(つまり、台湾省)。
次に、沖縄を含む南西諸島を中国の影響下に置く。
その影響力が定着したら、南西諸島は中国の自治区とする。
 国が発展する時、領土も発展するという法則があります。
もし、将来、気候変動や自然災害がなかったら、
中国は、経済的にも、軍事的にも世界最強の国となるでしょう。
アメリカが、領土や影響力を西へ西へと拡大してきたように、
中国が、領土や影響力を東へ東へと拡大しても不思議はないでしょう。
 さて、この文章では、なぜ「中国の軍事指導者」と書いたのか。
それは、あまりにも巨大化する中国軍を、
将来、共産党指導部がコントロールできなくなるからです。
 イラク戦争中、「それはホワイトハウスが承知しているのか」という事態が、
何度もありました。
 アメリカですら、このような状態ですから、
いったい、中国は、どうなっているのか。

同盟とは 2009 11 14
 オバマ大統領の来日に伴い(2009年11月14日当時)、
ニュースでは、「日米同盟」という言葉が目立ちました。
そこで、「そもそも同盟とは何か」ということを考えてみましょう。
 同盟というと、まず軍事同盟を連想します。
そうすると、日米安全保障条約は、軍事同盟でしょうか。
 もし、これが軍事同盟ならば、
日本の上空を通過し、アメリカへ向かうミサイルをすべて、
日本は打ち落とす必要があります。
 しかし、これについては、
日本政府は、否定的な見解を持っているでしょう。
 なぜか。
それは、日米安全保障条約は、軍事同盟というよりは、
保護条約のようなものだからです。
第二次世界大戦後、アメリカは、軍事的脅威から日本を保護する。
日本は軽武装で、商売に専念する、あるいは経済発展に専念する。
 そういう趣旨だったから、冷戦が終了してしまうと、
「アメリカは日本を守り、日本はアメリカを守らない」という奇妙な関係が、
浮き彫りになってしまったのです。
 本来ならば、冷戦終了後、
いや、戦後復興が終わり、日本が経済大国になった時に、
「同盟のあり方」や「日米関係」を再定義すべきだったのです。
 もちろん、こうした思考は、冷戦時代の思考かもしれません。
21世紀においては、たとえば、「日米経済同盟」や「日米政治同盟」、
あるいは「日米環境同盟」など、新しい思考が必要かもしれません。




























































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